OCT・OCT angiography

正常な黄斑部OCT画像

OCT画像
正常な黄斑部OCT画像

【正常な黄斑部OCT画像】

正常な黄斑部OCT画像

【脈絡膜と網膜の各層】

網膜の断面がかなり詳しく分かるようになり、EZの有無で視力予後も予測できるようになってきた。

NFL:網膜神経線維層
GCL:神経節細胞層
IPL:内網状層
GCC:網膜神経節細胞複合体
緑内障になり神経節細胞が死んでいくにつれ
この層が薄くなる。
INL:内顆粒層
OPL:外網状層
ONL:外顆粒層
EML:外境界膜
EZ:エリプソイド ゾーン
RPE:網膜色素上皮

中心静脈閉塞症

テノン注射前
中心静脈閉塞症
中心静脈閉塞症
中心静脈閉塞症
テノン注射後
中心静脈閉塞症
中心静脈閉塞症
中心静脈閉塞症

黄斑円孔

黄斑円孔

加齢黄斑変性

治療前
加齢黄斑変性
加齢黄斑変性
治療後
加齢黄斑変性
加齢黄斑変性

緑内障におけるOCTの役割

緑内障は自覚症状に乏しい疾患であり、視野異常などを自覚し来院した際には病状がかなり進行している症例が少なくない。
緑内障の治療は障害の進行を遅らせることが目的だが、進行期の緑内障の場合、有用な視力・視野を生涯保持させることは容易ではない。よってより早期に緑内障を発見すること、また進行期緑内障においては障害の進行を的確にとらえ治療方針を決定していくことが重要となってくる。

緑内障は、構造学的変化(網膜神経線維層欠損と視神経乳頭陥凹)が機能変化(視野異常)に先行するので、網膜視神経線維層と視神経乳頭を定量的に評価することが大変重要である。
当院では緑内障診療に下記検査も行っているのでより高い確率で緑内障の検出ができ、また早期発見・経過観察に非常に有効である。

  • 構造変化の定量的評価として、OCT撮影(網膜神経線維層欠損と視神経乳頭陥凹)
  • 機能変化の定量的評価として、ハンフリー静的視野検査

網膜神経線維層欠損

正常の視神経乳頭

【正常の視神経乳頭】

OCTでは、ディスク周囲3.45mmの網膜RNFLの厚さを測定している。

乳頭下方(I)>上方乳頭(S)>鼻側乳頭(N)>耳側乳頭(T)の順に厚い。
正常の平均と比較し、菲薄化やISNTの法則のくずれなどがあると緑内障性障害を疑う。

OCT RTVue-100 RNFL3.45
OCT RTVue-100 RNFL3.45

<OCT RTVue-100 RNFL3.45>

視神経乳頭陥凹

リムの形、面積を正常と比較し、ノッチングが生じていたり全体的に薄くなっていたりしていると緑内障性障害を疑う。
緑内障によって神経節細胞が死んでいくにつれて神経節細胞複合体(GCC)が薄くなる。

OCT RTVue-100 RNFL3.45

<正常眼と緑内障眼での視神経乳頭の陥凹(cup)の形態>

OCT RTVue-100 RNFL3.45

<ノッチング>
※白矢頭で挟まれた部分は網膜神経線維層束状の欠損

下図青枠内、赤い部分が神経節細胞複合体(GCC)が薄くなった部分

OCT angiographyとは

光干渉断層血管撮影(OCT angiography:OCTA)は、光干渉断層計(OCT)を用いて、非侵襲的に血流動態にもとづいて血管構造を抽出することができる新しい技術です。

フルオレセイン蛍光眼底造影検査(FA)やインドシアニングリーン赤外蛍光造影検査(IA)とは異なり、造影剤を使用しないので、造影剤によるアレルギーや副作用のおそれもなく、短時間で検査ができます。

OCTAの原理は、動きのあるもの(血流内の赤血球)のみを抽出して、血管構造だけを再構築するもので、近年のOCTスキャンスピードの高速化に伴い、可能になった技術です。

OCTAは網膜表層毛細血管層、網膜深層毛細血管層、網膜外層、脈絡膜毛細血管板の4層に層別表示されます。

【4層の解剖学的位置】

4層の解剖学的位置

主な対象

  • 糖尿病網膜症(糖尿病黄斑浮腫を含む)
  • 網膜静脈分枝閉塞症
  • 加齢黄斑変性

利点と欠点

OCTAの利点の第一は造影剤を使用しないことです。

造影剤による副作用もなく、早い操作で非侵襲的に血管を抽出できるので、検査を頻回に行うことができ、治療後の経過観察などを何度も行うことができます。

加齢黄斑変性のフォローアップで毎回新生血管の変化を確認でき、糖尿病網膜症を定期的にOCTAでフォローすれば、思わぬ悪化を見逃す可能性が低くなります。

また、OCTAでは造影検査と違い、造影剤の漏れなどの影響がないので、新生血管などフルオレセイン蛍光眼底検査(FA)では漏出した造影剤でかくれてしまう血管でも、血管構造を鮮明に抽出できるという利点もあります。

網膜表層のみならず、網膜深層から脈絡膜まで3次元で血管構造を観察できるのが大きな利点です。

一方で、従来の眼底造影で検出されていた【漏出】【貯留】【組織染】といった所見を捉えることができず、眼底造影では解析される【造影早期】【造影後期】といった画像も得られません。

しかし、通常の光干渉断層計(OCT)や眼底所見などと組み合わせて評価することで、血管の機能障害などはある程度推測が可能です。

もう一つの欠点は、画角が狭いことです。しかし、機器の進歩によりこの欠点は徐々に改善されつつあります。

蛍光眼底造影とOCTA

  蛍光眼底造影 OCTA
造影剤使用 あり なし
撮影の簡便さ やや煩雑 簡便
深さ別解析 できない できる
撮影範囲 広い 狭い
解像度 普通 高い
蛍光漏出等の機能的解析 できる できない
蛍光漏出等による画像の不鮮明化 あり なし
時系列による評価 できる できない
正常 網膜表層毛細血管層
正常 網膜表層毛細血管層
正常 網膜深層毛細血管層
正常 網膜深層毛細血管層
正常 網膜外層
正常 網膜外層
正常 脈絡膜毛細血管板
正常 脈絡膜毛細血管板
糖尿病網膜症 網膜表層毛細血管層
糖尿病網膜症 網膜表層毛細血管層
網膜静脈分枝閉塞症 網膜表層毛細血管層
網膜静脈分枝閉塞症 網膜表層毛細血管層
加齢黄斑変性 脈絡膜毛細血管板
加齢黄斑変性 脈絡膜毛細血管板 加齢黄斑変性 脈絡膜毛細血管板