片側顔面けいれん

片側顔面けいれん

片側顔面けいれんとは

症状と原因

顔の筋肉は小さな筋肉の集まりで、それぞれの動きの組み合わせで微妙な表情がつくられます。片側顔面(へんそくがんめん)けいれんは、それらの筋肉が自分の意思に関係なくけいれんする病気です。症状は、片方の目のまわりの軽いピクピクしたけいれんにはじまり、次第に同じ側の額、頬、口、あごなどへ広がっていきます。けいれんの程度が強いと、顔がキューっとつっぱってゆがんだ状態になることもあります。また、けいれんの側に筋肉のマヒが生じてくることもあります。通常は片側にみられますが、まれに両側にみられることもあります。 この病気の原因は、顔の筋肉の運動を支配する神経(顔面神経)が障害されることによるといわれています。そのまま放っておいて自然に治る病気ではなく、日常生活や仕事に大きな支障をきたすことになります。

発症年齢分布図

片側顔面けいれんは、40~70歳の中高齢者に発症することが多く、女性に多くみられます。

片側顔面けいれんの発症年齢分布

治療について

有効性と安全性

海外でも広く用いられています

「ボトックス®」による片側顔面けいれんの治療は、アメリカやヨーロッパなど海外では広く行われており、多くの患者さんにおいて有効性と安全性が認められています。国内でも「ボトックス®」は片側顔面けいれんを治療するお薬として認可され、使用できるようになりました。

片側顔面けいれんの対症療法です

「ボトックス®」による治療は対症療法といって、生活に不都合がないように症状をおさえる治療法です。

けいれんしている顔の筋肉に注射します

「ボトックス®」は、はけいれんをおこしている顔の筋肉の数箇所に注射して、片側けいれんの症状をおさえる注射薬です。

微量のボツリヌス毒素がけいれんをおさえます

「ボトックス®」はボツリヌス菌がつくりだすボツリヌス毒素を主成分としています。ボツリヌス菌は食中毒の原因として知られていますが、ごく微量の毒素はけいれんを生じさせている神経の働きをおさえます。それによってけいれんをおこしている筋肉を弛緩させ(ゆるめ)、片側顔面けいれんの症状をおさえます。

効果と副作用

効果

効果は3~4ヵ月続きます

「ボトックス®」を注射すると、通常、数日でけいれんの減少がみられ、1~2週間で最も効果が高まります。個人差はありますが、通常3~4ヵ月間、効果は続きます。注射後、一定期間経過すると、神経の働きが回復してくるため、注射前の症状が再びあらわれてきます。

副作用

「ボトックス®」を注射した筋肉の力が弱くなりすぎて、まぶたを閉じにくくなったり、口もとが下がってしまったりすることがあります。また、けいれんしている筋肉以外にもお薬が効いてしまった場合、その部分の筋肉の力が弱くなることもあります。たとえば、かっえってまぶたがあけにくくなったり、物が2つに見えたり、顔の表情が少し変わることがあります。
しかし、これらの副作用は、お薬が効きすぎているためで、神経の働きが回復するとともに徐々に戻ります。いずれにしても、副作用が出たときには、すぐに主治医の先生にご相談ください。

症状が出てきた場合

再注射の時期です

「ボトックス®」を注射後、通常3~4力月経過すると、片側顔面けいれんけいれんの症状が再び出てきます。症状があらわれてきたら、再注射が必要となります。注射の量が多すぎると副作用がおこる可能性が高くなることから、通常、最初の注射はできるだけ少ない量で行います。ただし、注射の感覚が短すぎると毒素に対する免疫ができ、お薬の効果がなくなってしまうおそれがありますので、2回目の注射以降は次の注射までに最低2ヶ月は間隔をあけることが必要です。
「目のまわりがピクピクしてきた」「口もとがひきつるようになってきた」「顔がよくけいれんするようになった」などの症状が出てきたら、お早めに主治医の先生にご相談ください。

このページの内容は「ボツリヌストキシン療法研究会」様からの許諾の上転載しています。