眼瞼けいれん
眼瞼けいれんとは
原因
眼瞼(がんけん)けいれんは、目を取りかこむ眼輪筋(がんりんきん)という筋肉が、自分の意思に関係なくけいれんする病気です。
症状は、まばたきが増えたり、まぶしさを感じたりすることから始まり、症状が重くなるとまぶたが開かなくなって、目が見えない状態にまで進んでしまうこともあります。まぶしい光やストレスは、これらの症状を悪化させます。この病気のはっきりとした原因は分かっていません。
症状の進行はゆっくりしていますが、そのまま放っておいて自然に治る病気ではありません。多くの場合は次第にけいれんの回数が増し、日常生活や仕事に大きな支障をきたすことになります。
発症年齢分布図
眼瞼けいれんは40~70歳の中高齢者で発症することが多く、男女の比率はほぼ1対2で女性に多くみられます。
治療について
有効性と安全性
海外でも広く用いられています
眼瞼けいれんは、内服薬の投与や手術によって治療されてきましたが、決め手となるものはないとされていました。 「ボトックス®」による眼瞼けいれんの治療は、アメリカやヨーロッパなど海外では広く行われており、多くの眼瞼けいれんの患者さんにおいて有効性と安全性が認められています。国内でも「ボトックス®」は眼瞼けいれんを治療するお薬として認可され、1997年から使用できるようになりました。
有効性と安全性
眼瞼けいれんが発症する原因がはっきり分かっていない現在、この病気を完全に治す方法はありません。「ボトックス®」による治療は対症療法といって、生活に不都合がないように症状をおさえることを目的とした治療法です。
けいれんしているまぶたの筋肉に注射します
「ボトックス®」は、はけいれんしているまぶたの筋肉の数箇所に注射して、眼瞼けいれんの症状をおさえる注射薬です。
微量のボツリヌス毒素がけいれんをおさえます
「ボトックス®」はボツリヌス菌がつくりだすボツリヌス毒素を主成分としています。ボツリヌス菌は食中毒の原因として知られていますが、ごく微量の毒素はけいれんを生じさせている神経の働きをおさえます。それによってけいれんをおこしている筋肉を弛緩させ(ゆるめ)、眼瞼けいれんの症状をおさえます。
効果と副作用
効果
効果は3~4ヵ月続きます。「ボトックス®」を注射すると、通常、数日でけいれんの減少がみられ、1ヵ月くらいで最も効果が高まります。個人差はありますが、通常3~4ヵ月間、効果は続きます。注射後、一定期間経過すると、神経の働きが活発になってくるため、注射前の症状が再びあらわれてきます。
副作用
まぶたを閉じる筋肉の力が弱くなりすぎると、顔を洗うときに水が入る、目が乾く、目が傷つくなどの不都合が生じやすくなることがあります。また、まぶたを閉じる神経以外の神経にもお薬が効いてしまった場合、その部分の筋肉の力が弱くなることもあります。
たとえば、かえってまぶたが開けにくくなったり、物が2つに見えたりするこがあります。しかし、これらの副作用は、お薬が効きすぎているためで、神経の働きが回復するとともに徐々に戻ります。いずれにしても、副作用が出たときには、すぐに主治医の先生にご相談ください。
症状が出てきた場合
再注射の時期です
「ボトックス®」を注射後、通常3~4ヶ月経過すると、眼瞼けいれんの症状が再び出てきます。症状があらわれてきたら、再注射が必要となります。ただし、注射の間隔が短いと、毒素に対する免疫ができやすくなり、効果がなくなることが考えられますので、前回の注射から次の注射まで、最低2ヶ月は間隔をあけることが必要です。
「まばたきが多くなってきた」「まぶしさを感じるようになってきた」などの症状が再び出てきたら、お早目に主治医の先生にご相談ください。
症状チェック
(眼瞼けいれん重篤度分類より一部改変)
重症度
- 光、風、振動などの刺激があると眼輪筋のけいれんがおこる
- 軽い眼輪筋のけいれんがある
- 眼輪筋のけいれんがあり、けいれんのない他の顔面筋との違いが分かる
- 他の顔面筋のけいれんを伴う著しい眼輪筋のけいれんがある
頻度
- 通常よりまばたきが多い(1分間に20回以上まばたきをする)
- まばたきの回数が著しく増え、1秒程度続く軽い眼輪筋のけいれんがある
- 1秒以上持続する眼輪筋のけいれんがあり、日常生活に支障をきたしている。しかし、目覚めている時間の50%以上は目を開けていることができる
- 眼輪筋のけいれんによってほとんど目を閉じた状態なので、機能的には失明状態である。そのため読書をしたり、テレビを見ることもできない