眼科便り

サギングアイ症候群(Sagging Eye Syndrome、SES)

2024年10月4日

サギングアイ症候群は眼窩プリー(外直筋-上直筋バンド)の加齢性破綻による後天性の斜視疾患です。

#眼窩プリー:眼球赤道部後方にある一群の眼球支持組織

#バンド:眼窩プリーの一部で、各直筋プリーを固定するコラーゲンの繊維

特徴
• 年代
:中高年
*成人発症の内斜視で一番多く、やや女性に多い
• 症状
:徐々に悪化する遠見複視、上下複視、回旋複視
  • 眼球運動は正常
  • 運転時、外出時の遠見複視が顕著

#この場合の複視は、ある1つのものを見たとき、片眼だと1つに見えるが両眼で見ると2つに見えること(両眼複視)

• 顔貌
:Sagging like face
*上眼瞼陥凹、腱膜性眼瞼下垂、下眼瞼脂肪突出
• 小角度斜視
:斜視の角度は小さい
  • 開散麻痺様内斜視、微小角上下斜視、眼球運動正常
  • 斜視角度は小さいが自覚症状は強い

#開散麻痺様内斜視:遠方のものを見たとき、左右の眼の視線が十分に開かず、内斜視の状態になること

• 脳障害は除外
治療
• プリズムメガネ
:複視を矯正
  • プリズムレンズ、膜プリズムの2種
• 片眼遮蔽
:非優位眼をテープなどで遮蔽状態にする
  • オクルーダーレンズ、spot patch
• 希望により手術
:症状軽減を目的
  • 加齢性変化で徐々に悪化する
  • 手術しても治りにくく、再手術の可能性あり

運転時センターラインが2本に見える、テレビを見ていて顔が2つに見えるなどの症状があったらご相談ください。