眼科便り

ソフトコンタクトレンズ素材

2023年7月27日

ソフトコンタクトレンズの素材として、最初はHEMAが使用されました。HEMA製のコンタクトレンズは素材に含まれる水分から角膜に酸素を供給する構造のため、必要な酸素量を確保するために素材の含水率を引き上げたり、レンズを薄くするなどしましたが、含水率を高くすればするほど、薄くすればするほどレンズ形状が変形しやすくなり、またレンズそのものに水分が奪われ、乾きを感じやすくなったり(盗涙現象)しました。それでも角膜に必要十分な酸素量の確保は難しい状況でした。
次にシリコン系の素材が注目されました。シリコン系素材は水を介さなくても素材自体が直接酸素を通すため酸素透過係数(Dk値)が高い反面、硬く、疎水性で脂肪の汚れ等が付着しやすいという欠点がありました。
シリコン系素材と従来の素材HEMAを重合させたものがシリコーンハイドロゲルです。開発当初はシリコンの含有率が高く低含水率で、Dk値は100を超えましたが硬めで、そのための眼障害が生じたりしました。
素材のDk値を80程度にしても眼への影響は100以上とあまり変わらないとの事もあり、現在はシリコンの含有率を下げて含水率を上げ、レンズの厚みを薄くして、Dk値は若干さがるものの柔らかい、眼に優しい素材へと変化してきています。また疎水性の欠点を補うために、レンズに高分子化合物を含ませたり、保存液に親水性を向上させる成分を含ませたりして装用感を改善させています。

グラフ
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非認可のカラーコンタクトや素材が低含水率HEMAなどのコンタクトレンズは眼障害を起こしやすいので避けたいものです。